ホテル・旅館業界のメイク
目次
労働力不足って
労働力不足が深刻な問題になっています。
若者どころか、労働者はいったいどこに行ったんだろうと思います。
日本は高齢化を突き進んでいます。
しかし、人手不足の問題を高齢化だけに置き換えるのは無理があると考えます。
地方の労働力不足は、東京都一局集中によるのも要因でしょう。
若者の企業に対する価値観の変化や終身雇用制の崩壊などもあります。
ホテル・旅館業界
例えば、ホテル・旅館業界
日本へのインバウンドに焦点をあて、
さらに2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、
ここしばらく東京もホテルの建設ラッシュが続いています。
しかし、一方でいわゆる「メイク(部屋のお掃除、ベッドメイキング等)」の作業をする人の確保に難渋し、「部屋があってもお客さまを受け入れられない」状況が生じています。
どれだけのベテランでも、
チャックアウト~チェックインまでの時間内にメイクできるのは15部屋前後ですから、100室で約7名は必要なわけです。
東京都でみると(出典 平成27年度福祉・衛生統計年報)、
ホテル 施設数 682 客室数 100,122
旅館 施設数 1,209 客室数 49,164
となっていますから、東京都の宿泊施設では、単純計算でメイクだけでも約10,000人は必要な計算になります。
ちなみに時給も上がっています。実際は1,500円/時間でも応募がないというような声も聞くようになりました。
働く時間も10時〜15時というように、長時間ではありません。
それでも応募がないそうです。
ホテルのフロント職や営業職の人がメイクをするわけにもいきませんし、
そもそもメイクは研修時に見学したぐらいで、一朝一夕にできないのです。
温泉に宿泊して
先日、温泉旅館に宿泊しました。
部屋に入ると、既に「ふとん」がひかれていました。
浴衣はフロントの横に棚があって、各自が選んで部屋にもっていく。
浴衣が必要のない人はいらないわけです。
食事のカニは、まとめてお皿に盛って自分で自分の席に。
ここまで手間を省いているんだと強く感じたものです。
外国人の従業員もいましたが、おそらく近隣でも大手の旅館だけでしょう。
外国人労働者の受け入れ
今、政府も外国人労働者の受け入れを考えています。
全国的な規模でみると数千人単位で受け入れなければ追いつかないかもしれません。
当然、給料の高いところに人は流れます。
日本で仕事をしている外国人は、出身国のコミュニケーションが綿密なので、
給料の状況も労働環境もすぐにわかります。
一番大きいのは給料ですから、多いところに人は流れます。
外国人労働者の雇用をいくら促進しても、結局のところ、東京一極集中になるでしょう。
そもそも日本で働きたいと考えている外国人が、東京以外の地域で働いてもいいと考えているでしょうか。
仮に東京以外で働き始めても、実際に東京の時給を知ればどうなるかわかりません。
現段階では受け入れ数の上限もある計画になっているので、
日本全国すべての雇用ニーズに平等に応えられないのは必然です。
AI・ロボットは人に置き換わるか
一方で「AIが職を奪う」ということも言われています。
しかし、ある意味「メイク」のような技術をもった仕事まで置き換わるでしょうか。
ハウステンボスの「変なホテル」の「脱ロボット化」が話題となりました。
4年ほど前に導入されまものは、すでに時代遅れでしょう。
これでは、たとえAIを導入しても、リプレイスなどのランニングコストがかなりの金額になるとはずです。
そもそもロボットにメイクはできません。
メイクを自動化することを考えた方がいいですが、
このためには改築が必要になるでしょうから、費用もかかります。
今はまだ、AI・ロボットにお金をかけるより、
人にお金をかけてほしいと切に願います。
外国人観光客だけではない
実は、日本に来られる外国人の多くは、
「おもてなし」という言葉のとおり、機械的ではない「日本人の心のこもった対応」を求めているのも確かなのです。
地方の町や村では、「こんなところに」という場所に外国人が集まっています。
そこには、労働力不足という言葉は今のところ聞こえてきません。
そういうところに日本人観光客も一度訪れるべきです。
日本という国が観光で生きるためなら、
日本人もいろいろと学ぶべきかもしれません。
地元の人が、できる範囲で、できることを。
そういうところも、ホテルや旅館業界の労働力解消に役立つでしょう。