ASIAGAPの導入に向けて②「管理点と適合基準1~3」

目次

A.経営の基本

「ASIAGAP農場用 管理点と適合基準」には、
経営の基本に関することが最初に記されています。

明確に「農業を経営している」ことを意識されている
農家や法人・団体も多いでしょう。

では、「農業を事業として経営している」ことを、
明確に証明するにはどうすればいいでしょうか。

作物のひとつひとつに最新の注意をはらって、
素晴らしい作物を生産されている。

できた作物が市場に出荷されてとても好評を得ている。
農業における一連の流れを記録しておく。
この「記録に残す」ということが、JGAPの基本です。
ガイドラインの最初の項目は「経営の基本」となっていますが、
けっして難しいことはありません。

とにかく今からでも記録に残すことをお勧めします。
では「A.経営の基本」をみていきましょう。

1.農場管理の見える化

1.1適用範囲

必須です。

下記の適用範囲に関する最新情報を文書化している。
① 農場(農場名、所在地、連絡先)
② 商品(農産物、品目(栽培中または栽培予定))
③ 生産工程カテゴリー
④ 圃場(圃場名等、所在地、面積、栽培品目)
⑤ 倉庫(倉庫名等、所在地、保管物(農薬・肥料等の資材、 燃料、機械等))
⑥ 農産物取扱い施設(施設名等の識別、所在地、取扱い品目)
⑦ 外部委託先(名称、委託工程、所在地、連絡先)

「商品」は「ASIAGAP標準品目リスト」に記載があるものを記載します。
(参照  ASIAGAP標準品目名リスト

「生産工程カテゴリー」とは、、自分の農場が適用する生産工程 (栽培工程・収穫工程・農産物取扱い工程)の範囲のことです。
総合規則を参照してください。

「圃場(ほじょう)」とは、総合規則に次のように定義されています。
「作物を栽培する土地及び作物を栽培するハウス等をさし、
栽培を管理する最小単位として扱われています。

圃場は下記の条件の下で圃場名等を別に付けて区別する必要がある。
a) 農産物及び品目が異なる場合(輪作・裏作の場合を除く。また栽培段階で品目が定まらない場合を除く(茶等))
b) 品種が異なる場合(出荷する商品で識別が必要な場合)
c) 農薬使用の記録を分けなければならない場合(1 回の農薬散布が 1 日で終了せず農薬散布日が異なる、異なる農薬を散布する等)
d) 圃場の管理とリスクが同一と判断できないほど離れた場所にある場合
e) その他

1.2 圃場と施設の地図

必須です。

圃場と施設の地図がある。地図には周辺の状況を記載している。

圃場や施設があれば、
リスク評価の資料として活用するため、
その周辺の状況が記載された地図を保管しておかねばなりません。

ちなみに施設とは、
農機具や資材の保管倉庫、農作物取扱い施設、衛生施設(トイレ、手洗い)、
エネルギー(重油、電気等)、給排水の関連施設等があげられます。

これらを管理し、記録して保管することです。

1.3 農場管理システム

必須です。

ASIAGAPが求める農場管理をどのように実施するかについて、農場管理システムを構築し、農場管理マニュアルとして文書化している。

JGAP2016管理点と適合基準にはなかったものです。

「ASIAGAPが求める農場管理」とありますが、
まずは、農場管理をどうしているか、
それをマニュアル化(文書化)することです。

JGAPに取り組んでこられた農場なら、
一定のものが出来上がっていると思います。
それをASIAGAPに当てはめていきましょう。

1.3.1 食品安全マネジメントシステム(一般要求事項) 

必須です。

農場管理システムでは、農産物の安全性リスクに基づいて、下記を含む食品安全マネジメントシステムが策定され、実施され、かつ維持されており、また継続的に改善されている。
① 食品安全マネジメントシステムの適用範囲の特定
② 食品安全に関する法令の遵守
③ 食品安全マネジメントシステムに必要なプロセスの特定
④ プロセスの順序と相互作用の決定
⑤ プロセスの効果的な運営とコントロールを確保するための基準と方法の決定⑥ プロセスの運営とモニタリングをサポートするために必要な資源と情報の確保
⑦ 計画された結果と継続的改善を達成するために必要な措置の評価・モニタリング・分析
⑧ システムが有効であり続けることを確認する食品安全マネジメントシステムの検証手続きの実行

食品安全マネジメントシステム「FSMS(Food Safety Management System)」は、主に加工品を対象とするISO22000を農業生産環境に取り入れられて、「環境保全」、「労働安全」、「労務管理」が加わります。

1.4 農場管理マニュアルの発行

必須です。

農場管理マニュアルを作成または改定する場合は、下記の手続きを実施していることが記録でわかる。
① 農場の責任者の指示の下で作成されている。
② ASIAGAPを充分理解した者によって検証されている。
③ 農場の代表者によって承認されている。

1.5 農場管理マニュアルの見直し

必須です。

① 農場の責任者は農場管理マニュアルの内容を、年1回以上見直している。
② 経営者は農場管理マニュアルの改善をサポートし、その内容を記録しなければならない。

マニュアルは、農場の責任者の指示で作成します。
できたマニュアルは、ASIAGAPを充分に理解した者に検証させ、
農場の代表者の承認を受けます。

小さな農場では、「責任者」と「代表者」が同じでもかまいません。

何か改善すれば、対応しているマニュアルも修正しなければなりません。
実際と異なる手順で作業されていてはだめです。
そういう意味からも年に1回という回数は少ないかもしれません。

天候や、季節にも左右されますので、
古いものだからといって廃棄したりせず、
さまざまな状況に対応したマニュアルを準備することをお勧めします。

1.6 農場管理マニュアルの最新版管理

必須です。

農場管理マニュアルが改定された場合には下記を実施している。
① 旧版と新版が明確に識別されている。
② 変更された内容について作業者に説明を実施し理解させている。

古いマニュアルと新しいマニュアルが、
並んで保管されているようなことのないよう、
きちんと区別されなければなりません。

また、マニュアルがあっても作業者に周知されていなかったり、
情報が共有されていなければ意味がありません。
簡単でもいいので、周知を怠らないようにしましょう。

2.経営者の責任

2.1 責任及び権限

必須です。

① 下記の責任者を確認できる組織図がある。
1)経営者
2)農場の責任者(経営者または経営者から農場管理を委任された者)
3)商品管理の責任者(食品安全及び商品の異常・苦情対応に責任を有する者)4)農産物取扱い施設の管理責任者(農産物取扱い施設の運営に責任を有する者)
5)肥料管理の責任者(肥料等の選択、計画、使用及び保管の責任を有する者)
6)農薬管理の責任者(農薬の選択、計画、使用及び保管の責任を有する者)
7)労働安全の責任者(作業中のけが、事故の発生を抑制することに責任を有する者)
8)労務管理の責任者(農場内部の職場環境、福祉及び労働条件(労働時間、休憩、休日、賃金等)に責任を有する者)
② 経営者は、上記の責任者に必要な権限を付与し、この基準書のどの管理点を担当させるか明確にしている。
③ 経営者は、農場内に上記の責任者を周知している。

責任者とその権限を明確にして周知しておかねばなりせん。
各項目ごとに責任が分担してもいいです。
経営者が責任者を把握して、農場内に周知しておかねばなりません。

それほどの人数がいない場合は、責任者(経営者)が兼任してもいいのです。

組織図が作業場に掲示してあれば良いのですが、
田んぼや畑に掲示できませんので、
作業場のような場所がないところは、
皆が見やすく周知しやすいところに掲示すればいいです。

ただし、何年も放置されて汚れているようなものは、適宜、交換しましょう。

2.2 方針・目的

重要事項です。

① 経営者は、農場運営の方針を文書化している。方針には、食品安全方針と法令遵守及び農場管理の継続的改善を含む。
② 経営者は、上記の方針を農場内に周知している。

農場運営の方針や目的について、
適正農業規範である
「農場運営」「食品安全」「環境保全」「労働安全」「人権・福祉」
のキーワードを盛り込んで文書化した方針書に経営者が署名して、
作業者の見えるところに掲示しておきましょう。

方針・目的には、
食品安全の確保と法令遵守及び農場管理の継続的改善が含まれます。

そして、経営者はこの方針や目的を農場内に周知します。
団体の場合は、経営者を団体代表者と読み替えて、
団体としての方針や目的とします。

2.2.1 食品安全の目標

重要項目です。

経営者は管理点2.2の食品安全方針に関して、測定可能な食品安全の目標を定めている。

いわゆる、経営者が「食品安全方針」について、
数値で示せる目標を定めて宣言することです。

必須ではないのですが、目標を定めたのならば農場内に周知しましょう。

2.3 内部監査の実施

必須です。

① ASIAGAPを十分に理解した者によるASIAGAPの内部監査を年1回以上実施したことが記録でわかる。
② 内部監査の結果、不適合だった項目を改善している。また、そのことが記録でわかる。

JGAPでは「自己点検」でしたが、
ASIAGAPでは「内部監査」と文言が変わりました。

内部監査の結果、不適合だった項目を改善し、
そのことも記録によりわかるようにしておかねばなりません。

ASIAGAPを十分理解している者とは、
ASIAGAP認証をすでに取得している農場の責任者、
ASIAGAP指導員と共同(誰でも)、
もしくはASIAGAP指導員の十分な指導のもとにある農場の責任者のことです。
内部監査は重要です。必ず行ってください。

2.4 経営者による見直し

重要項目です。

① 経営者は、年1回以上、内部監査の結果を把握し、農場管理の仕組みの有効性を見直し、必要に応じて該当する責任者へ改善を指示している。
② 上記の見直しの結果及び該当する責任者への改善指示を記録している。

経営者による見直しは重要項目です。
前項で述べましたが、年1回以上の内部監査を実施したら、
経営者はその結果を把握しなければなりません。

その結果について、農場管理の仕組みの有効性を見直し、
必要に応じて2.1で示した該当する項目の責任者に改善を指示し、
その指示内容と改善結果を記録して保管します。

団体の場合は団体代表者に読み替えてください。

2.4.1 食品安全の目標の達成状況の把握

重要項目です。

経営者は、管理点2.2.1食品安全の目標の達成度を把握したうえで管理点2.4経営者による見直しを実施している。

目標を設定すれば、達成度を把握しなければなりません。
その結果、見直しを実施し、一連の流れを記録するわけです。

いわゆる「PDCA」サイクルです。

2.4.2 経営資源の決定・提供

重要項目です。

経営者は、食品安全マネジメントシステムを含む農場管理マニュアルの実施、維持及び改善に必要な適切な資源(適切な資格を有するスタッフを含む)を適切な時期に決定し、かつ提供しなければならない。

農場管理マニュアルのとおりに実施や維持及び改善をするためには、
それなりの人材や道具、機器が必要になるかもしれません。
適宜、それら資材に投入を検討して実施しましょう。

2.4.3  HACCPベースのシステムの見直し

必須です。

経営者は、管理点5.1のHACCPベースのシステムの継続的な適合性、適切性、及び有効性を確保するために、HACCPベースのシステムを年1回以上見直しをしている。

食品の安全性に影響をもたらす何らかの変更があった場合には、HACCPベースのシステム及び食品安全の管理手順(前提条件プログラムを含む)の見直しをしなければならない。見直しは、食品安全マネジメントシステムを構成する農場管理マニュアル及び食品安全の目標の修正の検討を含む。

GAP認証を受けた作物は顧客の求めに応じて、
HACCPベースのシステムや食品安全の管理手順に沿って、
適切に提供されなければなりません。

HACCPのシステムに安全な作物を提供するため、
顧客と継続的に連携し信頼を築いていく必要があります。

必要が生じれば、マニュアルの修正や食品安全の目標の修正などにも、
柔軟に対応できるよう準備しておきましょう。

2.5 知的財産の保護

重要項目です。

① 自分の知的財産である新たに開発した技術、新たに育成した品種、新たに ブランド化した商品等がある場合、それらを保護し活用している。
② 登録品種などの他人の知的財産を侵害しないようにしている。

要するに、自分が新たに開発した技術、新たに育成した品種、
新たにブランド化した商品等の知的財産がある場合には、
それらを保護して活用し、
他人の知的財産である登録品種などは侵害しないようにするということです。

特に自分が新たに開発した技術、育成した新種、ブランド化した商品等は、
海外に種子が不正に流出するということも多々あります。
知的財産ということを認識して対応しておかなければなりません。

それらを「権利化する」、「秘匿する(隠す)」、「公開する」といった、
適切な手段を選ぶ必要があるのです。

そのためにも、技術は「特許」や「実用新案の申請」、
新種は「品種登録」、ブランド化した商品は「商標登録」を実施するべきです。

日本の場合は、
登録品種の種苗を譲渡する場合は権利者の許諾を得なければなりません。

これらのことを、文書化して保管しておきます。

3.計画及び実績評価

3.1 生産計画

必須です。

農場の責任者は下記の項目を含む生産計画を立て文書化している。
① 作業内容及び実施時期
② 品目ごとの収穫見込量
③ 生産性等に関する目標

①についは、例えば、輪作による連作障害の防止を考慮しているということ。
③については、例えば、目標として、
・10a当たりの収量・売上
・10a当たりの資材(農薬・肥料等)の使用量・使用金額
・作業者1人当たりの収量
・秀品率向上
・単価向上
など、農場側の目標を計画して文書化しているということです。

生産に入る前に例年の実績などを考慮して、
無理のない目標や計画を策定しましょう。

3.2 作業記録

必須です。

圃場及び農産物取扱い施設での作業を記録している。
作業記録には以下が記載されている。
・作業日
・作業者名
・作業内容
・使用した機械

上記のほか、作業時間や機械の稼働時間、
天候による作業への影響(雨または風の発生など)なども
記録しておくほうがよいでしょう。

また、苦情や異常に対応した記録は今後に役立つ情報にもなりますし、
ルール違反・事故等のトラブル及びヒヤリハットも、
記録として残しておくべきでしょう。

3.3 記録の保管

必須です。

① ASIAGAPが求める記録を安全に保管するための文書化された管理手順がある。
② ①の手順に従い有効にコントロールしたASIAGAPが求める記録を過去2年分以上保管している。初回審査では審査日からさかのぼって3か月分以上の記録を保管している。初回審査後は継続して記録を保管している。
③ 2年を超える保管期限を法令または顧客に要求されている場合には、その要求に従って記録を保管している。
④ ASIAGAPが求める記録について、必要に応じて速やかに閲覧できる状態を維持している。

記録をしたら保管しましょう。

通常は2年の保管ですが、
GAPの審査に際しては、まずは3カ月分を保管しましょう。

2年以上の保管を顧客に要望されているなら、それに応じて対応してください。

3.4 計画と実績の比較

努力事項です。

① 管理点3.1に対する実績を記録している。
② 計画と実績を比較し、次の計画立案に役立てている。

管理点3.1は計画目標ですから、
それに対する実績や反省などもできれば詳しく記録しておきましょう。
次期の計画立案に大いに役立つはずです。

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