HACCPを導入する?10のチェックポイント!1~5

HACCPを導入するために

「HACCPの導入」というと、どうしても肩に力が入りがちです。
結果として、現場の意見を聞かず、
労力と費用ばかりかけて、上手くいかなかったということも多いのでは。

今回は「HACCPを導入する?10のチェックポイント!」ということで、
HACCPの導入について、10項目に分けて考えてみました。

「始めてみれば、できた」となるよう、参考になれば幸いです。

1.「トップ宣言」全員が目的を明確に!

今のようにSNSなどが発達すると、
自社が製造したり、販売したりする食品への異物混入など、
その情報が一瞬で日本全国を駆け巡ります。

そうでなくてもクレーム対応に追われるのは大変です。
放置していなくても対応が遅れると営業停止や廃業の問題も生じます。

ここで、「HACCPを導入する」ということもひとつの道です。
でも「HACCPは大変」という先入観もあるでしょう。

HACCPの土台となる一般的衛生管理を構築することが、
異物混入対策に有効だとわかっています。
ですから、まずトップが明確に目的を示す必要があります。

あえて「HACCP」という言葉を使わずに、
「異物混入撲滅」という分かりやすい言葉で目的を示します。
これまでのクレームの実態も発表し共有します。

信用を失わず、取引を存続するためには、
「異物混入のクレームをなくすことが今できる最善のことである」
と、全員に理解し意識付けします。

このような一般的衛生管理のステップを1年間かけて行い、
毎月の進捗状況を発表します。

目的が明確になり、進捗状況を可視化することで、意識も高まります。
一年後、異物混入クレームを激減させることに成功すれば、
「HACCP」を構築したと宣言できるのです。

2.失敗と成功の分け目

HACCPを構築するにあたり、
12ステップの最初にある「チームの編成」を行います。
多くの会社では、そのチームリーダーは会社の幹部がなるでしょう。

チームリーダーは作業手順書やマニュアル類の文書や、
チェックリストや管理表などの書類を作成し、
それらをトップダウンで現場に下ろします。

突然の指示に現場は混乱します。
「仕事が増える」「煩雑になる」という思いから、反発も生まれます。
「なぜ今、HACCPなのか?」と。

このような事例は多くの場合、
HACCPチームの中に現場の人間も一人もいないことで起こります。
基本原則は、HACCPも一般的衛生管理も現場を重視しなければなりません。

清掃や洗浄、機器のメンテナンスも現場で行われています。
温度管理や精度チェックも現場です。
現場の人間を一人も参加させず、
管理者レベルで形式的にHACCPを構築しようとしても上手くいきません。

「HACCPを構築できる人間は現場にいそうにない」から、
「管理者が主導で」という考え方は間違いです。

部門や課にはそれぞれ上長(リーダー)がいます。
成功するチームは、現場の上長をHACCPのチームに参加させ、
品質管理者や工場長らとともに、ボトムアップを目指すのです。

3.施設・設備は重要ではない

HACCPは「方法論」であって、
施設や設備を良くしようというもではありません。
HACCPの構築のために「施設・設備を新しく」と言ってくる、
コンサルティングに踊らされないでください。

何度も言いますが、HACCPにお金はかかりません。

どれだけ施設や設備が立派でも、運用のミスで事故は起こります。

過去に、米国のハンバーガーパティ製造工場「ハドソンフーズ」が、
O-157入りの製品を出荷してしまったため、
大量の回収をしたうえ、工場が閉鎖になりました。

原因はリワークでした。
パテの製造途中の原料や中間原料を保管して翌日製造していたのですが、
保管中にO-157が増殖してしまったのです。

問題はO-157だけではありません。
温度管理の記録もなかったなどの運用がずさんで、
過去にも指摘されていました。

コンピューター制御され、
手に直接触れることなくパテが作れる、当時最新鋭の設備でしたが、
結果的に大きな事故につながりました。

機械の不良や施設や設備に衛生上の問題があれば別ですが、
基本的にHACCPは、今までどおりの施設や設備のままで構築できます。

動線やゾーニングといった問題点を解消するのも、
設備のレイアウトを変更したり、
人の移動や時差を考えるといった工夫をすればいいのです。

まずは、事故や問題を起こさないよう、
ハード・ソフトの両面から、創意工夫して、
HACCPは構築されていくのです。

4.基礎は「一般的衛生管理」

虫の混入を防ぐには、建物にあるすき間を放置しないこと。
虫が混入するのは施設のメンテナンスに問題があることになり、
一般的衛生管理の項目の3番になります。

ただし、虫は人やモノと一緒に入ってきます。
おそらく100%プロテクトするのは困難でしょう。

問題は虫が入ってきてからです。
清掃洗浄をきちんとしないとそうなります。小蝿の発生などがそうです。
これは、一般的衛生管理の項目の1番です。

排水や廃棄物の管理が徹底していないと、虫の内部発生につながります。
これは、一般的衛生管理の項目の6番です。

虫がいるのを放置できないので、駆除しなければなりません。
これは、一般的衛生管理の項目の4番です。

毛髪やゴミを、作業員が持ち込まないようにしなければなりません。
また、食中毒菌を持ち込まないように徹底しなければなりません。
これは、一般的衛生管理の項目の7番です。

このように、
多くの課題や問題が一般的衛生管理を構築することで解決できるのです。

【PP(一般的衛生管理)の概略】
 ・施設設備の衛生管理 施設設備の掃除の仕方
 ・衛生教育 なぜきれいにするのが大切かを全員に教える
 ・施設設備・機械器具の保持点検 料理道具を使いやすく、
  壊れないようにする
 ・ペストコントロール(そ族昆虫の防除) 虫やネズミがこないようにする
 ・使用水の衛生管理 きれいな水を使おう
 ・排水および廃棄物の衛生管理 汚水やごみは早く捨てる
 ・個人衛生(従事者の衛生管理) キッチンに入る人はきれいに、健康に
 ・原材料の受け入れ、食品等の衛生的取扱い 食材をきれいに扱い、
  バイキンを増やさない
 ・回収(製品の回収プログラム) クレームや製品への疑問が来たときに、
  すぐに対処する
 ・製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検 温度計やバイキンを
  チェックする道具を正確に

 

5.五項目を「しっかり」やる

「しっかり掃除しろ」とよく言われる。
この「しっかり」というのが、実は加減がとても難しいです。
具体的にどうやって、どうしたら「しっかり」になるのか。

でも、「しっかり」やるのは、
「内容」、「頻度」、「担当」、「確認」、「記録」、
の5項目。

「内容」は、
例えば「床を清掃する」とか「冷蔵庫を清掃する」というように、
「場所」や「機器」などを特定した具体的内容になります。

また、「温度計の校正」や「調理後の中心温度測定」という、
HACCPのCCPの関連事項も同様です。

「頻度」は、
床の清掃は「毎日」、冷蔵庫の清掃は「毎月」、
温度計の校正は「毎月」、調理後の中心温度測定は「30分ごと」などのこと。

「頻度」で大切なことは、適正な頻度(回数)を決定することです。
頻度(回数)は効率も考慮しなければなりません。

「担当」は、
「内容」を実施する人を誰にするかです。明確にしておきます。

「確認」は、
「実施」した状況を、「実施」した人以外の人が確認することです。
他の人が見たら公正な判断が望めます。

また、責任を明確にするためにも、
「担当」者と「確認」者は別であることが重要です。

「記録」は、
一連のことを記録することです。

記録をすることで、実施した内容が明確になり、
問題があっても遡及して追跡することができ、
原因の究明にも役立ちます。

以上の5項目を決定しておくことは、
総合衛生管理製造過程の申請書類にあるチェックリストでも明確になっています。

この5項目が抜けると、
確実に実施するシステムができていないということで、
書類の段階でアウトになってしまいますから、重要です。

→「HACCPを導入する?10のチェックポイント!6~10」へ

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