JGAPを知ろう⑪ – C.栽培工程における共通管理 23~24.2

いよいよJGAP(青果物2016)も、
栽培工程における共通管理まできました。
こちらは、農薬と肥料が主な内容で重要です。

目次

23.種苗の管理

23.1 種苗の調達

必須です

① 種苗を購入した場合、品種名、生産地、販売者、使用農薬の 成分(種子の場合は種子消毒、苗の場合は種子消毒及び育苗期間中に使用した農薬すべて)と使用回数が記載された証明書等を保管しているまたは記録している。

例えば、薬用作物の場合、学名等を正確に同定できるものを選択している。
また、書類または記録を保管している。

② 自家増殖の場合、採取した種苗の圃場を記録している。

③ 行政による検疫対象の種苗の場合、検査に合格していることを確認している。また、検査に合格していることを示す書類または記録を保管している。

※種馬鈴しょ合格証票」など。

23.2 播種・定植の記録

重要事項

播種・定植について下記を記録している。
① 種苗ロット(種苗購入日、種子製造番号等)
② 播種・定植の方法(機械の特定を含む)
③ 播種・定植日
④ 圃場の名称または圃場番号

23.3 遺伝子組換え作物の栽培・保管・販売

必須です

遺伝子組換え作物は下記の項目を満たしていること。
① 栽培する国・地域の行政の指導に従って栽培している。
② 栽培する国で許可された品種である。
③ 栽培記録において、遺伝子組換えであることを明記している。
④ 遺伝子組換え作物と非遺伝子組換え作物の圃場を明確に区分して栽培している。
⑤ 種苗と農産物は、遺伝子組換え作物と非遺伝子組換え作物を明確に区分して保管している。
⑥ 取引する国の行政の指導に従って販売している。
⑦ 取引する国の行政が販売を許可した品種である。
⑧ 取引する国の行政による遺伝子組換え農産物に関する表示義務に従っている。法令が存在していない場合は、少なくとも 作物の名称、原産地、「遺伝子組換え」または「遺伝子組換え、不分別」のいずれかを表示する。

いずれの作業についても記録を残して保管すること。

24.農薬の管理

24.1農薬使用計画
24.1.1「 IPM」の実践

必須です。

① 農薬管理の責任者は、耕種的防除・生物的防除・物理的防除及び化学的防除を適切に組み合わせることにより、病害虫・雑草による被害を抑える計画としている。

※ 総合的病害虫・雑草管理 (IPM: Integrated Pest Management)
 総合的病害虫・雑草管理(IPM:Integrated Pest Management)とは、病害虫の発生状況に応じて、天敵(生物的防除)や粘着板(物理的防除)等の防除方法を適切に組み合わせ、環境への負荷を低減しつつ、病害虫の発生を抑制する防除技術です。
 農林水産省では、病害虫や雑草の防除のために農薬に依存してしまう防除ではなく、IPMの考え方を取り入れた従来以上に環境負荷を低減する防除を推進しています。
 また、農薬に対する抵抗性や耐性を獲得してしまった防除困難な病害虫について、IPMの考え方に基づく総合的な防除対策による効率的・効果的な防除体系の確立・導入に取り組んでいます。
→ 農林水産省:総合的病害虫・雑草管理(IPM)に関する情報ページ

② 過去の病害虫・雑草の発生状況、農薬使用計画・実績による改善策を検討し、その結果を農薬使用計画に反映している。

【取組みの事例】
・病害虫に強い品種選定等、病害虫
・雑草の発生を予防するための工夫
・病害虫・雑草の発生状況の的確な把握、防除方法やタイミングを決定するための情報の収集
・病害虫・雑草の発生状況に基く必要最低限の農薬散布
・こまめな除草
・太陽熱消毒による連作障害の予防

計画を策定した場合は、文書化して保管しておきましょう。

24.1.2 農薬の選択・計画

必須です。

農薬管理の責任者は下記を満たした農薬使用計画を立てている。

① 使用する予定の農薬の商品名、有効成分、適用作物、適用病害虫・雑草、
希釈倍数、使用量、使用回数、総使用回数、 使用時期、使用方法(散布以外)
を書いた農薬使用計画が ある。

※ 農協や普及センターが作成した防除暦・有効成分とその総使用回数の記載がある使用可能な農薬リスト等を参考にして農薬使用計画を作成する。
→ 農林水産省:農薬コーナーのページ

② 上記の農薬使用計画は、生産国の農薬使用基準を満たして いる。

③ 取引先及び地域の規制要求がある場合には、その農薬使用 基準を満たしている。

④ 輸出を検討している場合は、輸出先の国で使用が禁止されて いる農薬を使っていない。また、使用が認められている農薬 は、残留農薬基準を確認した上で選択している。

※ 輸出先の国に残留基準値がない場合は、Codex MRLを使用する。

⑤ 水田または水系に近い圃場での使用については、魚毒性を 考慮している

⑥ 農薬使用計画は、ポストハーベスト農薬を含んでいる。

※ ポストハーベスト農薬は食品添加物に該当する。

農薬使用計画を策定した場合は、文書化し保管しておきましょう。

24.1.3 耐性・抵抗性の防止

重要項目

過去に使用した農薬を把握し、耐性・抵抗性が生じないような防除計画を立てている。ラベルに指示がある場合はそれに従っている。

防除計画を策定した場合は、文書化して保管しておきましょう。

【例】
対策として、同系統の有効成分の農薬を連続して使用しない、ラベルに記載された希釈倍数より薄く希釈しない等がある。

24.1.4 残留農薬の後作への考慮

必須です。

今作で使う農薬が後作の作物にも適用があるか確認し、後作で残留農薬基準違反を起こさないように対策を講じている。

【対策の例】
・後作物に適用がなく、残留基準が一律基準の場合は基準値超過の恐れがあるため農薬を変更するか、適用がある後作物に変更する。
・栽培を途中で切り上げた場合、すぐに後作の作付をせず期間をあけたり緑肥を撒いたりしている。
・育苗箱に農薬を使用した場合、苗箱処理時にシートを下に敷いていたことを確認してから後作の作付をしている。対策が行われていない場合は後作の作付を控えている。

24.2 農薬の準備
24.2.1 農薬使用の決定

必須です。

① 農薬管理の責任者は、管理点24.1.2で立てた農薬使用計画に従って農薬使用を決定している。

② 計画を変更する場合には、変更した農薬使用計画が管理点24.1.2を満たしているか再度確認してから決定している。

③ 収穫予定日から逆算して使用日を決定している。

④ その他、ラベルの指示事項に従っている。
②例えば、普及指導員や農協・農薬メーカーの有資格者に確認をとってから変更する。

24.2.2 農薬の準備・確認

必須です。

① 農薬管理の責任者の許可・指示なく農薬を準備・使用していない。

② 最終有効年月を過ぎた農薬を使用していない。

24.2.3 散布液の調製

必須です。

① 農産物や環境に危害のない場所で散布液を調製している。

② 農薬を正確に計量している。
※ 正確に計量できる秤、計量カップを用いている。

③ こぼれた農薬を処理するための農薬専用の道具がある。
※ こぼれた農薬を処理する道具には、砂、ほうき、ちりとり、ゴミ袋等がある。道具は管理点24.4.3⑤の道具と兼用にしている。

④ 農薬の計量と散布液の調製は、ラベルに従い、防除衣・防除具を着用して行っている。
※ 防除具は、保護眼鏡、農薬用マスク(粉剤・液剤 用)・防護マスク(粉剤・液剤用)・防護マスク(土壌くん 蒸用)、ゴム手袋、ゴム長靴等がある。マスクの種類は農 薬のラベルに記載の安全使用上の注意事項に従う。

⑤ 散布液の調製時に給水ホースをタンクに入れて撹拌していない。

散布液の調製に際しても、記録を残しておきましょう。

24.2.4 農薬の計量・希釈

必須です。

① 必要な散布液量を計算し、散布後に散布液や散布薬剤(粒・ 粉)が余らないようにしている。

② 正確に希釈している。
※ 希釈倍数を間違えないよう早見表を利用する。希釈用の水を正確に計るため平らな場所で水を準備している。

③ 混用が必要な場合はラベルの指示に従い、剤型による投入 の順番を考慮して良く混ぜている。
※ 混用の前に混合剤があるか確認する。混用する場合は、 例えば農協・農薬メーカーに相談したり、混用事例集を活用する。

④ 計量カップや農薬の空容器は使用後、3回以上すすぎ、すすいだ水は薬液のタンクへ希釈用の水の一部として戻している。

農薬の計量や希釈も、作業を行ったら記録し保管しましょう。

 

← JGAPを知ろう⑩ – B.経営資源の管理 21~22
     JGAPを知ろう⑫ – C.栽培工程における共通管理 24.3~24.6

 

Follow me!