JGAPを知ろう⑧ – B.経営資源の管理 15~17
目次
15.土の管理
15.1土壌の安全性
必須です。
下記の情報を参考に、
土壌(客土・培土・水耕栽培の培地を含む)の安全性について,、
年1回以上リスク評価し、
問題がある場合には行政に相談して対策を講じている。
リスク評価の結果と対策は記録しておかねばなりません。
① 行政による土壌汚染地域通知・指定の有無
② 管理点1.2の周辺の状況、これまでの圃場の使用履歴
【安全性の評価項目】
ドリン系農薬などのPOPs物質の残留、重金属類、放射性物質等がある。
15.2 土壌流出の防止
重要事項。
風や水による土壌流出を食い止めるような耕作技術を利用している。
例えば、下記の方法がある。
・土壌の透水性改善 ・草生栽培等の被覆作物の栽培 ・植生帯の設置 ・等高線栽培 ・石積 ・ブロックの施工 |
15.3 土作り
重要事項
圃場の土壌特性を把握し、持続的な土地利用のための土作りを行っている。
例えば、下記の方法がある。
・土壌図の利用 ・堆肥の施用(植物残渣のリサイクルを含む) ・緑肥の栽培(輪作の検討を含む) ・適切な土壌改良資材の使用 ・深耕の実施 |
15.4 汚染水の流入対策
努力義務
① 汚水の圃場への流入による土壌及び作物に対する影響がないように、対策を講じている。
② 汚水が流入した場合、作物や土壌に対する食品安全のリスク評価を実施し、必要な対策を講じている。行政の規制がある場合には、汚水に接した作物は規制に従っている。リスク評価の結果及び対策を記録している。
【汚水が流入する例】
「洪水」を例にとりましょう。
対策:予防対策として排水溝や圃場への入水口を把握し、大雨の危険がある場合には圃場に水が入り込まないように土嚢を積むなどして管理します。
また、排水溝につまりがないことを事前に点検することなども有効です。
汚水が圃場に流入してしまった場合には、
土壌環境基準(環境基本法)に基づく土壌検査などを実施して、
使用可否を判断します。
16.水の利用及び廃水管理
16.1 生産工程で使用する水の安全性
16.1.1 生産工程で使用する水の安全性
必須です。
① 生産工程で使用する水の種類とその水源及び貯水場所を把握している。
水の種類には農業用水、井戸水、河川水、ため池水、雨水、廃水の利用等がある。
② 生産工程で使用する水が農産物に危害を与える要因がないか、
危害要因には例えば、病原性微生物、重金属類、農薬、有機溶剤、放射性物質等がある。
リスク評価を年1回以上実施し、必要な対策を講じている。
リスク評価の結果及び対策を記録している。
リスク評価は下記の情報を利用する。
1)使用方法、使用時期及び使用期間 2)水源及び貯水場所の周辺の状況 3)水源及び貯水場所やその周辺で行われた行政等による水質調査の結果 4)農場が実施した水質検査の結果 |
行政が実施する公共水域に関する環境影響評価「人の健康の保護に関する環境基準」に対する水質検査結果を参考にします。
農場が水質検査を実施する場合には取水場所の周辺状況からリスクが考えられる項目を検査します。
16.1.2 農産物取扱い工程で使用する水の安全性
必須です。
農産物を最後に洗う水、収穫後に霧吹きに使う水、農産物と触れる氷、農産物と接触する機械や容器の洗浄に使用する水及び作業者の手洗いに使用する水を衛生的に取り扱っている。
また、水質検査を年1回以上行い、大腸菌不検出であることを確認し、検
査結果を保管している。主に生食するものは行政が飲用にできると認めた水を使用している。
問題が発見された場合は使用を一時中止し、行政に相談している。
WHOの「飲用水の水質基準のガイドライン(第4版)」の微生物基準には100ml中の大腸菌不検出が示されている。
日本の場合、例えば水道水を使用する。水道水以外の場合には、飲用井戸水と同等レベルの「飲用井戸等衛生対策要領」に基づく水質検査を実施して確認する。
相談窓口は保健所になる。
16.1.3 ため水洗浄及び再利用する水の衛生管理
重要項目
① 容器に水を貯めて農産物を洗浄する場合は、水を掛け流している。
② 農産物を洗う水をくり返し使う場合、その水をろ過・消毒し、pHや消毒剤の濃度を定期的に点検し、記録している。
ろ過は、水中の固形物や浮遊物を効率的に取り除くもので、
定期的に行っている。
16.1.4 養液栽培で使用する水の安全性
重要事項
養液栽培の培養液が汚染されないように対策を講じている。
例えば、下記の対策を講じている。
・水供給設備の保守管理、清掃・培養液の頻繁な取り替え ・培養液を再利用する場合は微生物的、化学的汚染を低減するための処理 ・養液栽培用の資材や機器の衛生的な保管 ・取扱い(貯水タンクに蓋をする、作業者の手洗い等) ・栽培終了後など必要なときの洗浄、消毒 ・水質検査を年1回以上行い、大腸菌不検出であることを確認している。 |
16.2 水源等の保護
努力義務
自分の管理する水源、貯水場所及び水路が故意または偶発的に汚染されることを防止する対策を講じている。
例えば、井戸の場合、蓋をして施錠することで、故意に汚染物質を混入されることや小動物が侵入することを防止します。
水路やバルブ類が動物ふん等の汚物や家畜ふん堆肥で汚れていないか、
定期的に観察しなければなりません。
大雨や洪水のあとにも汚れていないか観察します。
汚れている場合は清掃するとともに汚染物が流入しない対策を検討します。
16.3 廃水の管理
重要事項
生産工程に使用する水の水質の劣化を防ぐために圃場及び農産物取扱い施設で発生した廃水やそれに含まれる植物残渣、掃除ゴミ等を管理している。
廃水には例えば、機械類の洗浄水、農産物の洗浄水などがあります。
例えば、農産物の洗浄水の場合、廃水枡で残渣を沈殿させてから処理する。
廃水枡がない場合には、残渣を網等で濾してから河川等へ排水します。
17.施設の一般衛生管理
17.1 有害生物への対応
重要事項
① 農産物取扱い施設内において、有害生物(小動物、昆虫及び鳥獣類等)の侵入・発生を防止している。
② 駆除する場合には、食品安全に影響がない方法で実施している。
例えば、どのような有害生物が発生しやすいかを把握した後に、
進入路を塞いだり、駆除を実施する。薬剤での駆除は、
農産物等に薬剤の影響がないよう、
保健所または専門業者に相談後実施します。
17.2 喫煙・飲食の場所
重要事項
喫煙・飲食をする場所は、農産物に影響がないように対策を講じている。
例えば、作業場所から隔離された場所で喫煙・飲食をするようにします。
作業場所と隔離されていないところで飲食する場合には、飲食後に清掃し、または必要に応じて殺菌をして農産物の衛生に影響がないようにしてください。
17.4 青果物の保管
重要事項
① 農産物を保管する場所は適切な温度と湿度が保たれている。
② 天井・壁等に結露した水滴が農産物に触れないようになっている。
③ 光に敏感な農産物(ジャガイモ等)を長期間保管する場合、光が入らない場所で保管している。