JGAPを知ろう⑦ – B.経営資源の管理 12~14

12.人権・福祉と労務管理

12.1 労働力の適切な確保

必須です。

① 労働者の名簿がある。
名簿には少なくとも氏名・生年月日・性別・住所・雇い入れの年月日が記載されている。(以下の項目を網羅していればよい)

・氏名
・生年月日
・履歴
・性別
・住所
・従事する業務の種類(労働者数30人未満の事業所の場合は不要)
・雇入れの年月日
・退職の年月日及びその理由(解雇にあってはその理由も含む)
・死亡の年月日及びその理由

個人情報は守秘義務を遵守して管理している。

② 外国人労働者を採用する場合、在留許可があり就労可能であることを確認している。

外国人技能実習生も1年目から労働者となる。
外国人労働者は、在留カード等により就労可能であることを確認してから労働者として採用する。

在留カードや就労ビザなど、必要なものを確認しておく必要がある。

③ ILO条約またはより厳格な法令がある場合はその法令で定義されている「児童労働」を利用していない。また、年少者の雇用は、法令に準拠している。

ILOでは「就業の最低年齢に関する条約(第138号)」で最低年齢は義務教育終了年齢後原則15歳となっている。ただし、軽労働については、一定の条件の下に13歳以上、危険有害業務は18歳未満禁止となっている。
なお、開発途上国のための例外として就業最低年齢は当面14歳、軽労働は12歳以上となっている。
日本の場合、満15歳の3月31日までは児童となる。また、年少者とは満18歳に満たない者を指す。

※ 同居の親族のみで運営されている場合(家族経営)は、該当外(適用外)となる。その他の場合は、使用者(経営者)と作業者との間に使用従属性があるか、労働の対価として賃金を支払っているかということを主なポイントとして労働者に相当するかを判断する。季節的な短期雇用者も労働者となる。

労働法の適用もあるので、注意が必要です。

平成19年厚生労働省告示第276号
外国人雇用のルールに関するパンフレット

12.2 強制労働の禁止

必須です。

下記のことが起きないように対策を実施している必要があります。

①人身売買、奴隷労働及び囚人労働を利用して労働力を確保すること。

外国人労働者や障害者を雇用する場合には正規のルートを通じて採用する。

②労働者に対して、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反した労働を強制すること。

内部告発制度を整備するなどがあります。人権の尊重と適切な労務管理を実践することを経営者自身が管理点2.2方針・目的で宣言し農場内に周知し、管理点2.4経営者による見直しで人権侵害がなかったかを振り返る。

12.3 使用者と労働者のコミュニケーション

重要事項です。
※ 労働者がいない場合は該当外(適用外)

① 使用者と労働者との間で、年1回以上、労働条件、労働環境、労働安全等について意見交換を実施し、実施内容を記録している。

労働者を雇用している場合は、年に1回は、それら労働者と、休憩の取り方、作業場の照明の明るさ、有給休暇の取得、労働者のメンタルヘルスへの配慮等、労働条件や労働環境、労働安全について話し合ってください。

② 使用者と労働組合または労働者の代表者との間で自由な団体交渉権が認められており、締結した協約または協定がある場合にはそれに従っている。

日本の場合は、農産物取扱い施設での労働などでは、8時間を超過する場合や、法定の休日(1週間に少なくとも1日、または4週間で4日以上の休日)が適用できない事業所においては、労使協定(36協定)を締結し労働基準監督署へ届出ることで、時間外労働・休日労働が可能となる。

農業(栽培・収穫まで)のみの場合は、労働基準法第41条により時間外労働・休日労働に関する規制について適用除外のため36協定は必要ありません。
ただし、外国人技能実習生がいる場合は適用除外はなく36協定が必要です。

農業は、労働時間が厳密に算定するのが困難ですが、労働者を雇う場合は、法律も守らなくてはならないので、注意が必要です。

12.4 差別の禁止

必須です。
※労働者がいない場合は該当外(適用除外)

雇用や昇進・昇給の決定は、
対象となる業務を遂行する能力の有無やレベルだけを判断材料とし、
人種、民族、国籍、宗教、性別によって判断していないこと。

例えば、同じ条件の業務について外国人労働者と国内の労働者との間で、
賃金に差がないこと。
同じ条件の業務について男女で賃金に差がないこと。
業務に関係のない医療検査(遺伝子検査等)は実施していないこと、などがあげられます。

13.作業者及び入場者の衛生管理

13.1 作業者及び入場者の健康状態の把握と対策

必須です。

① 農産物を通して消費者に感染する可能性がある疾病に感染しているまたはその疑いのある作業者及び入場者は、事前に農場の責任者へ報告をしている。

そもそも、作業場への入場者は健康であっても記録しなければなりません。
感染症等の感染者は特段に記録をしておかなければなりません。

感染症等の疾病に感染している者は、さらに入場を制限するなど、事前に農場の責任者への報告が必要です。

② 農場の責任者は、①に該当する者(感染者)に対して、
収穫及び農産物取扱いの工程への立入・従事を禁止または対策を講じた上で立入・従事を許可しなければなりません。就労制限・就労禁止も含まれます。

【就労制限・就労禁止】
・嘔吐、下痢、黄疸、発熱等の症状がある作業者については、感染症(赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、ノロウイルス等)の疑いがあるため立入・従事を禁止する。

・手指に化膿創がある場合には黄色ブドウ球菌による汚染リスクがあるため、重度の場合には農産物に接触する作業には従事させない。

就労制限や禁止の場合の賃金や休暇の取り扱いについては、決めて置いた方がいいでしょう。

13.2 作業者及び入場者のルール

重要事項。

下記の項目について衛生管理に関する必要なルールを決め、
収穫及び農産物取扱いに従事する作業者及び入場者に、
周知し実施させている。
ルールは文書化している。

 ① 作業着、帽子、マスク、靴、手袋等の装着品及び所持品
 ② 手洗いの手順、消毒、爪の手入れ
 ③ 喫煙、飲食、痰や唾の処理及び咳やくしゃみ等の個人の行動
 ④ トイレの利用
 ⑤ 農産物への接触

所持品には、時計、メガネ、携帯電話、筆記用具、たばこ、ライター、財布、鍵、付爪・マニュキア、指輪、ピアス等がある。
細かいようだが、作業場入場前に確認しておくことをお勧めする。

収穫作業者には、例えば下記のルールを周知する。

 ・ボタンやファスナーの取れかけた作業着は着用しない。
 ・携帯電話は落下防止処置をして携帯する。
 ・たばこ、ライター、財布、鍵等を携帯する場合は、ファスナーのついた
  ポケットに入れる。
 ・圃場ではたばこを吸わない。

生食する農産物を取り扱う場合は、食品用手袋の必要性を検討すること。

13.3衛生設備に関連する管理
13.3.1 手洗い設備

重要

手洗い設備は、トイレ及び農産物取扱い施設の近くに用意されている。
手洗い設備は衛生的に管理され、
衛生的な水(管理点16.1.2参照)を使った手洗いができる流水設備と、
手洗いに必要な洗浄剤・手拭・消毒等の備品があること。

洗浄剤には例えば液体石けんがある。

13.3.2 トイレの確保と衛生

重要事項

 ① 作業員に対し十分な数のトイレが作業現場の近くにある。
 ② トイレは定期的に清掃されており、衛生的である。
 ③ トイレは衛生面に影響する破損があれば補修されている。
 ④ トイレの汚物・汚水は適切に処理されており、圃場や施設、水路を汚染
  しないようにしている。

14.労働安全管理及び事故発生時の対応

14.1 作業者の労働安全

必須です。

① 圃場、作業道、倉庫・農産物取扱い施設及びその敷地等における危険な場所、危険な作業に関するリスク評価を年1回以上実施し、事故やけがを防止する対策を文書化している。
リスク評価とその対策は、自分の農場及び同業者で発生した事故やけがの情報や自分の農場で発生したヒヤリハットの情報を参考にしている。危険な作業として下記を必ず評価の対象としている。

 1) 乗用型機械の積み降ろし及び傾斜地や段差での使用
 2) 耕耘機の使用
 3) 草刈機(刈払い機)の斜面・法面での使用
 4) 脚立の使用

② 策定した事故やけがを防止する対策を周知し実施している。

③ 圃場、倉庫、農産物取扱い施設及び作業内容に変更があった場合には、リスク評価とその対策を見直している。

【想定できる事故やけが】
  転落、つまずき、挟まれ、巻き込まれ、切断、ぶつかり、引っかけ、
  ヤケド、中毒、酸欠、熱中症、蜂・蛇等の被害がある。

対策には、例えば下記がある。

 1) 積み降ろしの角度が緩やかになるようにする。傾斜や段差を十分に把握
  して作業する。移動時等の左右ブレーキの連結。
 2) バック時には必ず振り返って後方確認、いきなり深く耕さない。
 3) 斜面・法面での十分な足場の確保
 4) 安定した設置、天板に乗らない、開脚防止チェーンをかける、昇降時に
  ものを持たない。

そのほか、過去からの経験等で得られた事例や対処法を、
文書化して周知しておく。

14.2 危険な作業に従事する作業者

重要事項

管理点14.1で明確にした危険な作業を実施する作業者は下記の条件を満たしている。

 ① 安全のための充分な教育・訓練を受けた者である(管理点11.7参照)。
 ② 法令で要求されている場合には、労働安全に関しての公的な資格または
  講習を修了している者、もしくはその者の監督下で作業を実施している
 (管理点11.8参照)。
 ③ 酒気帯び者、作業に支障のある薬剤の服用者、病人、妊婦、年少者、
  必要な資格を取得していない者ではない。
 ④ 高齢者の加齢に伴う心身機能の変化をふまえた作業分担の配慮をして
  いる。
 ⑤ 安全を確保するための適切な服装・装備を着用している。

例えば、高所作業の際のヘルメット、草刈り機を使用する際のフェイスガード着用等がある。

そのほか、過去からの経験等で得られた事例や対処法を、
文書化して周知しておく。

14.3 労働事故発生時の対応手順

重要事項

労働事故発生時の対応手順や連絡網が定められており、作業者全員に周知されている。

14.4 事故への備え

重要

事故発生に備えて、清潔な水及び救急箱がすぐに使えるようになっている。
救急箱の中身は管理点14.1で評価したリスクへの対応に必要なものを用意している。
救急箱の中身は、例えば、包帯、消毒液、絆創膏、虫刺され
用薬品がある。

14.5 労働災害に関する備え(強制加入

必須です。

法令において労働災害の補償に関する保険が存在し、農場がその保険の強制加入の条件に相当する場合にはその保険に加入していなければなりません。

労働災害の補償に関する保険については、ILOの「業務災害給付条約(第121号)」が参考となるでしょう。

日本の場合、「労働者災害補償保険法」があり、農業において主たる条件は下記となっている。

・法人と常時雇用5人以上の労働者を使用する個人事業者は強制加入、常時雇用5人未満の労働者を使用する個人事業者の場合は任意加入
・外国人技能実習生は1人から適用またはそれに類するものに加入しなければならない。

 

14.6 労働災害に関する備え(任意加入等)

努力義務です。

① 労働者が労働災害にあった場合の補償対策ができている(管理点14.5で保険に加入している場合を除く)。

② 経営者や家族従事者が労働災害にあった場合の補償対策ができている。

その国の労災保険の任意加入制度や特別加入制度を利用する、
または民間の傷害保険等に加入するというようなことも考えてください。

日本の場合、「労働者災害補償保険法」があり、
特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者は、
「労災保険特別加入団体」を通じて特別加入が可能です。

また、中小事業主は「労働保険事務組合」を通じて特別加入が可能です。

なお、経営者が特別加入した場合や、
労働者の過半数が希望する場合には、
常時雇用5人未満の個人事業者であっても、
管理点14.5の強制加入の対象となります。

 

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