農業 『GAP認証』って?分かりやすくメリットなどを説明
未だに「GAP」と検索バーに入力してググる(Googleで検索する)と、
アパレルブランドがずらーりと出てきます。
農業GAPは、それだけ一般的な認知度が、まだまだ低いことがわかります。
ここでいうGAPは、「農業における優れた取り組み」のことです。
GAPにより、適正な農業経営管理が確立されるため、
そのことだけでも大きな意味を持っています。
さらに、GAP認証の取得後は、それ以前と比べてどのようなメリットがあるのかみていきましょう。
目次
「GAP認証を取る」ということの意味
GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、
農産物や食品の安全を確保し、
より良い農場経営を実現するための取り組みのことを言います。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が日々迫り、
HACCPとともに、日本でも世界基準での食品管理が求められています。
GAPを取得しているか農場か、
とういことがとても重要視されるようになるでしょう。
というのも、オリンピックの選手村や会場で提供する料理は、
GAP認証を取得していることが必須項目となっているからです。
現在、日本でGAP認証を取得しているのは、
全国農家126万戸のうち、
2018年3月末までで、わずかに4,213農場(認証数864)です。
日本の農場がGAP認証に出遅れると、
東京オリンピック・パラリンピックの選手村で提供される食材を、
輸入品に頼らなければいけなくなるというおそれがあります。
GAP取得のメリット
GAPは何も東京オリンピック・パラリンピックのためだけにあるのではありません。
農業生産物そのものの見た目や価格などの見える部分だけではなく、
生産工程における、食品安全、環境保全、労働安全、人権保護などの見えない部分の価値を証明できるというメリットがあります。
この見えない部分が第三者の審査を受けて証明された結果として、
取引するうえで選択されやすくなり、消費者に安心を与えることができるということが最大にメリットと言えます。
また、GAP認証を取得していない他社との差別化を図るうえでもひじょうに有効な手段です。
GAPの種類
GAPの種類なのです次の3種類です。
「JGAP」「ASIAGAP」の運営は一般財団法人日本GAP協会。
「GLOBAL G.A.P」の運営は一般財団法人日本GAP協会FoodPLUS社(ドイツ)
認証を取得するための審査母体や内容、費用も異なります。
世界基準のGLOBAL G.A.Pと比べると日本のJGAPは基準が甘いといわれています。
その分、
認証を取るメリットは国際的なものと比較すると見劣りするかもしれませんが、
国内流通に限っていえば、取得する価値はあるでしょう。
GAP認証を取るためには?
これまで「日本の食は安全」という神話がありました。
しかし、GAP基準で見ればなかなかすべての基準を満たしていなにのが現状です。
・食品安全
・家畜衛生
・環境保全
・労働安全
・人権保護
・アニマルウェルフェア
と、それぞれの基準に合わせて、
実施→記録→点検→評価を繰り返しながら、
生産工程の管理や改善を実施する必要があります。
たとえば「人権保護」の分野では、最近の日本では外国人研修生の問題があります。
安い給料、粗悪な生活空間で研修生を使って農業を実施していては、
いくら世間から「良い作物」という評価を得ていても、
GAPの審査は通りません。
アニマルウェルフェアがキー
日本と世界の大きな違いが、アニマルウェルフェアについての基準にあります。
世界の基準の方が、かなり厳密に定められています。
一方、日本の農家をみれば、どうでしょう。
農業をマニュアル化しているところがどれくらいあるでしょうか。
米作りをマニュアルどおりにしているでしょうか。
こういうところが、日本にGAPが浸透しにくい理由があります。
農林水産省のページにもマニュアルがありますが、
「平成20年」です。
日本の農林水産省のページ
農林水産省 GAP手法導入マニュアル(平成20年1月)
http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/g_torikumi/
消費者にとってのGAP
実のところ、私たち消費者もGAP認証について、
知識をもっていなければならないのではないかと考えます。
ひとつの作物に対して、トレーサビリティのように、
「どこで、どのように作られたものなのか」ということを知るべきなのは
わたしたち消費者です。
そして、
「いったいどこがGAP認証を受けているか」を意識することが
日本の農作物・畜産物のさらなる向上に貢献するものと思います。