高齢ドライバーは本当に危険なのか?
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高齢ドライバーは本当に危険なのか
高齢ドライバーの交通事故に関するニュースを、ほぼ毎日のように目にします。
高速道路の逆走。
駐車場でのアクセルとブレーキの踏み間違い。
などなど。
75歳以上の事故は年々増えており、2016年には13.5%となっています。
多いと感じますか?
人口の3割以上が65歳という時代を迎えようとしている今、
13.5%で収まっていると思いますか?
高齢ドライバーの問題について、少し考えてみたいと思います。
改正道路交通法と高齢者ドライバー
平成29年3月12日より改正道路交通法が施行されました。
改正ポイントのひとつが「 高齢運転者対策の推進を図るための規定の整備」となっていて、高齢者による交通事故を防止するため、次のとおり認知症などに対する対策が強化されています。
① 臨時認知機能検査・臨時高齢者講習の新設
【臨時認知機能検査】
75歳以上の運転者が、認知機能が低下したときに起こしやすい一定の違反行為(18基準行為)をしたときには、臨時の認知機能検査を受けなければなりません。
【臨時高齢者講習】
臨時認知機能検査を受け、認知機能の低下が運転に影響するおそれがあると判断された高齢者は、「臨時高齢者講習」(実車指導と個別指導)を受けなければなりません。
② 臨時適性検査制度の見直し
更新時の認知機能検査または臨時認知機能検査で「認知症のおそれがある」と判定された方は、「臨時適性検査」(医師の診断)を受け、または、命令に従い主治医等の診断書を提出しなければなりません。
医師の診断の結果、認知症と判断された場合は、運転免許の取消しまたは停止となります。
③ 高齢者講習の合理化・高度化
高齢者講習は、75歳未満の方については2時間です。
また、75歳以上の方については、認知機能検査の結果に基づいて、より高度化または合理化が図られた高齢者講習が実施されます。
運転免許の自主返納とは
この道路交通法の改正より前には、高齢ドライバーの事故の多発を受けて、1988年4月に運転免許の自主返納制度が導入されています。
「免許証を返納すると身分証明書が手元に無くなる」という人に配慮するかたちで、2002年には運転免許返納後でも身分証明書として使える「運転経歴証明書」を導入され、さらに2012年にはこの「運転経歴証明書」の有効期間が無期限となりました。
ただし、運転免許の取り消しや免停を受けているドライバーは「運転経歴証明書」の申請ができないなど、一定の条件をクリアしていないと「運転経歴証明書」は申請できないので注意してください。
この「運転経歴証明書」を提示すると自治体や民間でさまざまなサービスが受けられます。これらのサービスにより高齢者にもメリットを感じてもらうこで、免許の自主返納を促進する狙いがあります。
しかし、高齢ドライバーの事故が減らすことに効果があるのでしょうか。
自主返納の実態は
1998年に自主返納制度が始まって以来、返納者数も確実に増えています。
返納数上位の静岡県では、主治医が認知症のドライバーに免許返納を勧めているそうです。
一方で、実際に運転免許を返納する人は、実は認知症も患っておらず、ご自身が健康なうちに、自主的に返納しようとする強い意思を持った方も多いのです。
つまり、認知症に罹患しているなど問題を抱えている人は免許返納をしぶっていて、まだまだ運転していても大丈夫な人が比較的に返納に積極だということもなります。
さらに、免許証を返納したために認知症になる人も多いのです。
問題は免許返納後の「足」
免許返納後の「足」の確保の問題も深刻です。そもそも免許返納が進まない一番の理由が「足」を失うことになるからです。
皆さんは、近所のバス停がどこにあるかご存知ですか?
バスが運行している時刻を把握されていますか?
地方では、バスだけではなく電車など交通機関は衰退の一途です。
タクシーはすぐにひろえますか?
タクシー運転手さんの平均年齢は60歳を超えています。
ですから、今後は免許返納の対象の年齢になるタクシー運転手さんも多いでしょう。
また、免許返納で家族ごと「足」がなくなってしまう場合もあります。
実はとても深刻な問題なんです。
まずは、家族や身内、関係機関に相談を
さまざまな事情で免許を返納することができない人も多いと思います。
しかし、本当に認知症に罹患していたりすれば、
やはり運転は危険ですし、多くの人にも多大な迷惑をかけてしまいます。
人生の最後で取り返しのつかない事故を起こしてしまっては、
残念でならないでしょう。
免許の返納に関しては、まずは、家族や身内など身近なところから相談し、関係機関や医療機関も活用して考えてみてください。